設計変更の翌日、職人が作業に入れず、事務側では追加の伝票処理が発生する。こうした負担は、原価の費目だけでは原因を捉えにくいものです。建設会社の経営層・工事部門の責任者に向けて、図面変更を例に、ムダなコストの発生点、確認する記録、見直す優先順位を整理します。
この記事のポイント
発生点を探す手掛かりは、図面・承認結果・施工実績を受け渡す場面です。次の担当者に必要な情報が間に合わないと、手配や作業に追加の負担が生じます。
例えば、改訂図面が現場事務所に届いても、協力会社の手配担当者が旧版で手配を進めていれば、職人の再手配や搬入調整が必要になります。請求は外注費に、調整時間は現場管理の工数に表れますが、発生点は改訂情報が手配担当者に届かなかった場面です。
新しい仕様に必要な資材・作業や、安全・品質を確かめるための費用は、必要な負担として分けます。そのうえで、費用の計上先から情報や判断を受け渡す業務の流れをさかのぼり、作業前に情報が届いていれば避けられた負担を探します。
部門や会社によって、情報を使う時点・目的・書式は異なります。受け手がそのまま使える情報がそろわないと、次のような負担が生じます。
手待ち:承認依頼に必要な写真や条件が不足すると判断が止まり、承認を待つ作業も始められません。この資料不足による待ち時間は、技術判断そのものに必要な時間とは分けて考えられます。
二重入力:日報にある情報を原価集計で使う際、書式や管理方法が違ってそのまま利用できなければ、同じ項目の入力・照合が増えます。背景は転記・確認が残る理由でも整理しています。
手戻り:先ほどの図面変更のように、変更が関係する手配や作業へ反映される前に仕事が進むと、後から差し替えややり直しが必要になります。
同じデータの作り直しや施工の手戻りを減らすことは、国土交通省の「i-Construction 2.0の取組」でも目標に挙げられています。
直近の変更を一件選び、指示・承認・手配・再開の記録を時刻順に並べます。予定と実績を照合し、次の三つを別々に確認します。

支出・工数・工程への影響は、同じ変更にひも付けて整理します。待機分が追加請求に含まれている場合、同じ時間を人件費に換算して重ねて足さないようにします。記録の不足や食い違いは未確認として残します。
確認した負担を、発生頻度、支出・工数・工程への影響、自社で変えられる範囲で比べます。繰り返し発生し、影響が大きく、伝達方法や役割分担を見直せる接点は、最初の対象に選びやすくなります。一度限りの出来事も、影響が大きい場合は個別に対応を判断します。
例えば、複数案件で改訂情報が手配担当者に届くのが遅れ、再手配が続いているなら、その受け渡しを見直す対象にできます。変更を考える際は、事務側や協力会社に増える作業も含めて判断します。重大な安全上の懸念や契約上の問題は、頻度にかかわらず所定の経路で扱います。
建設業のムダなコストは、支出とその原因になった出来事を結び付けると、見直すべき接点が見えてきます。必要な業務と避けられた負担を分け、影響と変えられる範囲から優先順位を考えます。
Yopazは、業務フローの可視化やボトルネックの洗い出しを支援しています。現場と事務の間で、どの受け渡しが追加の負担につながっているか整理したい場合は、お問い合わせからご相談ください。
A.配車記録や作業開始の連絡で、予定と実績の差を確認します。時刻が食い違う場合は現場と事務側に確認し、記録で分かる範囲と聞き取りによる推定を分けて残します。
A.自社の注文書・承認履歴と、共有できる範囲の受領時刻や待機の有無を確認します。相手の単価や原価を推定で補う必要はありません。
A.計上先だけでは、変更の伝達や手配の経緯が分からない場合があります。当該情報を出した側と受けた側の担当者が、同じ出来事の記録を持ち寄ると、負担が生じた場面を確認しやすくなります。
A.変更の種類や影響範囲が近い案件に分け、変更一件あたりの追加工数など、同じ単位で比較します。夜間施工や大規模な仕様変更は別に集計します。