今後5年のBtoB ECで注目したいのは、AIを介した商品探索・購買支援です。顧客が商品や仕入先を選ぶ経路が変わるなか、その変化を受注につなげるには、購買システムとの連携と、正しく解釈できる商品データが重要になります。本記事では、物販を扱う供給者・卸売企業の視点から、こうした技術が競争条件をどう変え、自社の投資判断にどう関わるかを整理します。
この記事のポイント
Shopifyの2026年6月の発表では、UCPやCatalog APIを通じ、AIが商品を見つけて取引へ進むための接続が示されています。ただし、同社の説明ではAI経由の販売面はD2C向けであり、認識可能なB2B専用商品は除外されます。BtoB全体への普及を示す事例としては扱えません。
それでも、AIが顧客の購買経路に入る場合、競争条件は変わり得ます。自社サイトへ来てもらうことに加え、外部のAIを通じても、自社商品が用途や納入条件に合う候補として示されることが重要になるためです。短納期や専門性など、価格以外の強みも伝わるかが問われます。
一方、候補の提示と購入の確定は別です。取引先別の価格や承認を伴うBtoBでは、探索が変わっても、発注まで一律に自動化されるとは限りません。
購買システムとの接続は、すでに存在する仕組みです。モノタロウ PunchOutも、顧客の購買管理システムと商品カタログサイトを連携します。今後の着眼点は接続自体の新しさより、商品選択から顧客の承認・発注、売り手の受注・供給へと取引をつなげられるかです。
商品が見つかっても、顧客の手続きを外れて再入力が必要なら、購買の負担は残ります。価格・在庫・納期との整合も含め、合意した条件で注文を進められることが選定理由になり得ます。ただし、接続先を増やす価値は、主要顧客の利用と継続保守の負担を合わせて判断します。
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AIや購買システムが商品を扱うには、コード・仕様・単位などを同じ意味で解釈できることが必要です。一箱と一個の価格を区別できなければ、情報を渡しても正しく比較できません。GS1 Digital Linkのように商品識別とオンライン情報を結び付ける標準もありますが、採用だけで個別の取引条件まで共有できるわけではありません。
供給者には、公開する商品情報と顧客別の価格・契約条件を分け、それぞれを正しく更新する責任が残ります。こうした整備はAI専用ではなく、自社ECや顧客の購買システムにも共通する基盤です。経路が増えるほど、情報量だけでなく、各経路で同じ意味と条件を保てることの価値が高まります。
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影響の大きい技術が、自社の最優先投資になるとは限りません。主要顧客の購買方法と、受注を妨げている課題から、先に取り組む対象を考えます。
| 自社・顧客の状況 | 優先して検討すること |
|---|---|
| 主要顧客が購買システム経由の発注を求めている | 顧客の手続きに沿う接続と受注条件の整合 |
| 顧客がAIを通じて仕入先・商品を比較し始めている | その経路で自社商品と強みが正しく伝わるかの確認 |
| 商品コード・単位・仕様に不整合がある | 対象商品を絞ったデータ整備 |
| 個別仕様や専門家の適合判断が取引を左右する | 見積条件の共有と専門担当者への引き継ぎ |
複数の状況が重なる場合は、顧客の要望に応えるうえで前提となる課題を先に解きます。例えば、商品データに不整合があれば、接続先を増やす前に対象データを整えます。そのうえで、顧客の購買方法や利用サービスの対応範囲の変化に合わせ、優先順位を見直します。
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今後5年のBtoB ECでは、AIによる商品探索の変化を、実際の受注につなげられるかが重要になります。まずは主要顧客との取引を一つ取り上げ、商品情報や購買手続きのどこが障害になっているかを確かめることが、自社の優先順位を考える出発点です。
Yopazは、業務の現状把握から段階的なロードマップの設計、システム開発・導入まで支援しています。顧客の購買方法の変化に対し、既存の業務やシステムをどこから見直すべきかお悩みの場合は、Yopazへご相談ください。
A.同じ規模の投資を目指す必要はありません。主要顧客が求める対応に絞り、既存サービスで満たせる範囲と、自社で維持できる負担から考えます。
A.全面刷新が前提ではありません。既存のECや業務システムを生かした連携で対応できる場合もあります。必要な情報や機能が不足する箇所を見極め、変更範囲を判断します。
A.定型的な探索を支援できても、仕様の適合判断や個別交渉まで一律に置き換わるとは限りません。営業の価値は、候補を示すことに加え、顧客が判断できない条件を確認し、合意を支える点に残ります。