2025/06/10
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2025年上半期、僕らとAIの距離がもう一段、近づいた

目次

1. 世界および日本におけるAIチャットボット市場の現状と将来展望

2. 国内・国外におけるAIチャットボットの利用状況とシェア

3. おわりに

はじめに

2025年も半ばを迎え、AIチャットボット市場はかつてないスピードで進化を続けています。 DeepSeekの登場やGPT-4.5、Gemini 2.5といった新モデルの進化が話題になる一方で、情報が溢れすぎて全体像を把握しにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、世界および日本におけるAIチャットボットの市場動向と利用シェアを、分かりやすく整理しています。冷静に現状を俯瞰し、自社に合ったツール選定や活用のヒントを得たい方に向けた内容です。ツールの機能競争が激化する今こそ、広い視点で状況を捉えてみませんか?

1. 世界および日本におけるAIチャットボット市場の現状と将来展望

まず大枠として、AI全体の市場成長を見てみましょう。Statistaの調査によると2024年のAI市場は1,840億ドルを超え、前年からおよそ500億ドルの大幅な増加を記録しました。この勢い(年平均成長率は28.46%)は今後も継続し、2030年には8,260億ドルを突破する見通しです。

生成AI市場も急拡大しており、2025年には627億ドル、2030年には3,561億ドルに到達するとの予測が示されています。わずか5年で10倍以上、そして2030年には2020年比で60倍以上に拡大する計算です。

こうした背景の中、AIチャットボットは企業にとって現実的かつ即効性のあるAI活用手段として注目を集めています。Grand View Researchによれば、2024年時点でAIチャットボット関連サービスの業界売上高は約77.6億ドルとされており、2030年には約273億ドルに達すると予測されています(年平均成長率は23.3%)。

世界のチャットボットサービスの売上規模

以下は、現在のAI市場の動向と今後5年間の展望に関する重要なインサイト5選です。

世界のAI市場:現在のトレンドと2030年までの展望

一方、日本市場に目を向けると、2024年時点における日本のAI市場規模は約66億ドルと推計されており、今後も堅調な成長が見込まれています。IMARC Groupの予測によれば、2033年には352億ドルに達し、2025年から2033年にかけて年平均成長率20.4%で拡大する見通しです。

さらに、同じくGrand View Researchによると、2024年時点で日本のAIチャットボット関連サービスの業界売上高は約3.57億ドルとされ、2030年には13.05億ドルに達すると予測されています(年平均成長率は24.1%)。

世界のチャットボットサービスの売上規模

以下は、日本国内でAIの導入が特に進んでいる業界とその背景をまとめたものです。

  • 医療業界:日本は高齢化が進む中、医療の効率化と診断精度の向上が喫緊の課題です。AIによる画像診断や電子カルテの分析、自動応答システムの導入が進みつつあります。政府も医療DXを支援しており、今後の成長分野とされています。
  • 製造業:スマートファクトリー化が進む中、AIは生産ラインの最適化や故障予測に活用されています。特に、自動化ニーズの高まりや人手不足を背景に、ロボティクスと組み合わせたAI導入が注目されています。
  • 金融業界:金融機関では、与信判断や詐欺検出、顧客対応など幅広い用途でAIが活用されています。FinTechとの競争に対応するため、AI導入はもはや不可欠な戦略となっています。
  • 自動車業界:自動運転技術の開発が加速しており、センサーデータや画像解析へのAI応用が進んでいます。トヨタなどの大手企業が中心となり、研究開発が活発です。

このように、世界・日本いずれにおいても、AIチャットボットは単なるトレンドを超え、実務的かつ戦略的な投資対象となりつつあります。導入を後回しにする企業ほど、将来的に競争力や業務スピードの面でギャップを抱えるリスクがあるといえるでしょう。

次に、世界と日本におけるAIチャットボットのシェア状況を見ていきましょう。まずは、以下の2つの最新統計をご覧ください。

2025年4月時点における 世界のAIチャットボット市場シェア|出典:FirstPageSage

2025年5月時点における日本のAIチャットボット市場シェア|出典:Statcounter

 圧倒的な存在感を誇るChatGPT

日本でも世界でも、依然として最も支持されているAIチャットボットはChatGPTです。この圧倒的な数値からも分かるように、ChatGPTはすでに「おなじみの存在」として多くのユーザーに定着しています。OpenAIは定期的にモデルをアップデートしており、直近では「GPT-4.5」への進化が話題になっています。親しみやすさ・汎用性・拡張性の三拍子が揃った存在として、ChatGPTは今後も中心的なポジションを維持すると見られています。

 着実に支持を広げるCopilotとGemini

CopilotはMicrosoft 365との親和性が非常に高く、特にWordやExcelでの業務文書作成・表計算の効率化に強みを発揮。Data Studiosの調査でも「既存の業務フローと自然に統合できる点」が評価されています。一方、Google GeminiはGmailやGoogleドキュメント、さらにAndroid端末とのシームレスな連携により、一般ユーザー層を中心に日本市場での存在感を高めています

 DeepSeek・Perplexity・Claude AIのユーザー数も急増中

ChatGPT、Copilot、Geminiといった大手の影に隠れがちですが、DeepSeekPerplexityClaude AIといった新興勢力の台頭も見逃せません。それぞれが独自の強みを持ち、特定のユーザー層から確実に支持を拡大しています。

DeepSeekは、シェアが1%未満ですが、技術系ユーザーやスタートアップの間で注目が高まっています。価格の手頃さと、推論・技術分野における高いパフォーマンスが評価され、有望な選択肢として期待されています。

また、Perplexity AIは、検索エンジンの代替としての使いやすさが評価されており、特に要約や調査用途に特化した設計が支持を得ています。「欲しい情報に最短で辿り着ける」というスピード感が武器です。

Claude AI(Anthropic製)は、高いセキュリティ基準と倫理重視の設計で差別化されており、プライバシー意識の高い企業ユーザーを中心に採用が進んでいます。とくに金融・法律分野の専門職からの評価が高く、「ChatGPT以外の選択肢」として存在感を増しています。

 日本市場における「新興勢力」の存在感にも注目

ChatGPTの圧倒的なシェア(82.24%)が目を引く一方で、Perplexity(6.18%)、Google Gemini(5.33%)、Microsoft Copilot(4.97%)といった次点グループのツールたちも、日本市場で着実に存在感を高めています。

Perplexityは、上記の利便性に加えて、日本語対応の精度も比較的安定している点が評価されています。GeminiとCopilotは、優れたAIツールであるだけでなく、それぞれGoogleやMicrosoftのエコシステム、さらには対応する検索エンジンと深く結びついている点でも注目されています。

3. おわりに

AIチャットボット市場は、今まさに大きな転換期を迎えています。また 、進化のスピードが極めて速く、新しいモデルや機能の登場によって、数カ月単位で状況が変わることも珍しくありません。だからこそ、「今どのツールが自社に最適か?」「どう比較すべきか?」を定期的に見直す視点が求められます。

Yopazでは、AIチャットボットや生成AIの導入支援にとどまらず最新のAI技術トレンドをふまえたご提案や、PoC(概念実証)を含む検証環境のご提供まで、一貫してサポートしています。もし御社でも「AIの活用を次の段階へ進めたい」とお考えであれば、ぜひお気軽にご相談ください。

AIチャットボット市場の変化を味方につけることで、業務の質もスピードも、大きく変わるかもしれません。