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2025/12/19

【2026年最新】ベトナム事業環境:成長目標・物価・制度改正と企業への影響

2026年は、ベトナムの事業環境が大きく動く年になりそうです。  外部では紛争や関税政策の揺れが続き、国内では高い成長目標のもと、税制・法制度の改正も同時に進みます。  本記事では、ベトナムの全体像と企業への影響を抑えつつ、来年の事業トレンドを見立てます。  2026年の事業環境を読むための前提整理としてご活用ください。

2026年のベトナム事業環境:主要論点

2026年のベトナム事業環境は、「成長目標」「物価」「税制改正」「AI関連法制の整備」というの4点で押さえれば、全体像を短時間で把握できます。

成長目標:政府目標と国際機関の見通しはなぜズレる?

結論から言うと、政府は成長優先の政策を前提に強気の目標を掲げる一方、国際機関は関税リスクや輸出の鈍化を織り込んで慎重に見ているためです。

自然災害や関税の影響があるにもかかわらず、2025年のベトナム経済は堅調で、政府と国際機関はいずれも成長率を6.5〜8%程度と見ています

一方、政府は2026〜2030年に年平均10%という高い成長目標を掲げました。政策の優先順位を「成長」に置くという明確な意思表示です。その実現に向けて、既存産業を下支えしつつ、科学技術、イノベーション、DX、グリーン転換を成長の柱に据え、制度改革も進める方針です。

ただし、OECDなどの国際機関は6.2%と控えめに見ています。関税政策への懸念から輸出が影響を受けやすいと見ているためです。加えて、高い成長期待はインフレや為替への圧力、過熱成長のリスクも伴います。

「出典」:IMF Executive Board Concludes 2025 Article IV Consultation with Vietnam

物価・為替・金利:本当に安心できる?

結論として、インフレ目標はあっても、需要増と為替変動が重なるとコストが跳ねやすいです。この前提で見ておく必要があります。

2025年のインフレ率は3.4%前後です。2026年について、政府はインフレ率を4.5%未満に抑える目標を掲げています。ただし、年平均10%成長を狙う局面では、需要の強さが物価を押し上げやすい。「想定内」で収まるかは、政府側も慎重な見立てが求められます。

2025年はベトナムドン安のペースが速く、USD/VNDは3.5〜4%程度上昇しました。2026年はVND安が2.2~2.5%程度に落ち着く予測もありますが、為替が動く局面では金利にも上向きの圧力がかかりやすくなります。

指標上は「安定」に見えても、現場ではすでに生活コストと事業コストの上昇が先行しています。一方で、ベトナムドン安は海外から見たベトナムの財・サービスを相対的に割安にし、輸出面では追い風になり得ます。

税制:推計課税はどう変わる?

2026年の税制で目立つのは、個人・世帯事業者に対するルール変更です。免税枠の引き上げと、「推計課税」から実売上ベース申告への移行の2点です。

個人所得税法(改正)が成立し、年商5億VND以下は免税となる枠組みが示されています。また、年間売上の自己申告が求められます。報道では、2026年1月から「推計課税」を廃止し、実売上ベースの申告に移るとされています。

ベトナムでは個人・世帯事業者が約500万戸にのぼります。論点は税額ではなく、現場でやることが増えることです。請求書や入金、原価・在庫、口座の入出金まで、後から説明できるよう証跡として残す運用が求められます。

AI・知財・個人データ:2026年の法改正で何が変わる?

デジタル転換とAIが経済発展の重点に位置づけられる中、関連する法制度もそれに合わせて調整が進んでいます。

まず、AI法は2026年3月1日施行予定とされ、リスク管理とイノベーション促進の両立を狙う枠組みです。あわせて、知財法(改正)は2026年4月1日施行とされ、デジタル経済への対応や権利執行の強化が進む見通しです。また、個人データ保護法は2026年1月1日施行とされ、同意取得、委託先管理、越境移転などの実務負担が増します。

政府はAIの普及を後押しする一方で、条文の解釈や運用要件には未確定な部分が残っています。現在も意見募集が続いており、今後の運用指針で実務負担が増減する可能性があります。

まとめ

2026年は、外部要因の不確実性に加えて、国内の税制・法制度改正が同時進行する年になります。  企業は物価・為替によるコスト変動と、申告・データ管理など運用面の負担増を前提に見ておくことが必要です。  

後半では、企業への影響を具体的に整理します。

企業はどんな影響を受けるか?

2026年は、コスト圧力の上昇、税制・データの制度対応、AIの運用定着が、企業にとって3つの大きな影響になります。

AIは「導入」より「業務への定着」がカギ:入れるだけでは効果は続かず、権限設計、ログ、レビュー手順まで含めて運用を決め、日々の業務に組み込めるかで結果が変わります。

DX・イノベーションの追い風が続く:2026年もデジタル転換は政策面で後押しが続きます。可視化・標準化が進んでいる企業ほど、制度変更やコスト上昇への対応を「運用」で吸収しやすく、意思決定と改善のスピードが上がります。

会計・税務は「運用の精度」が競争力になる:請求・入金・原価・在庫を証憑とセットで残せるかが問われます。証跡が回る運用にしておけば、税務対応や監査対応の手戻りが減ります。

コスト圧力の上昇:インフレの上振れや為替差、関税政策の影響で、仕入れ・運営コストが上がりやすくなります。加えて、個人・世帯事業者の自己申告移行に伴う記録・証憑整備の負担は、取引の手間や証憑確認コストとして企業側にも波及します。

新しい申告プロセスに現場が追いつくまで時間がかかる:記録・帳票・証憑の整備が追いつかない事業者が出やすく、企業側でも請求確認や支払処理の手間が増えます。結果として、取引先の再編が進みやすくなります。

AIと知財の摩擦は「後回し」が最もリスクになりやすい:学習データや生成物の権利処理が曖昧なままだと、利用停止や差し止めを含む法務リスクに発展し得ます。特に知的財産法(改正)の第7条第5項は、AI学習と権利保護の線引きをめぐり解釈の余地が残る論点です。

問題は、「不合理な影響」の判断がケース依存になりやすい。創作者側が利用実態を把握しにくく、紛争時の立証・手続き負担も重くなりがちです。そのため、契約・同意・利用範囲を先に整理し、証跡が残る運用を前提に進める必要があります。

こうした環境変化を前提に、ベトナム企業は制度対応と運用設計を織り込みながら、次の打ち手を組み立てていく必要があります。

2026年、ベトナム企業はどう動くか?

AI・DXは「現場定着」と改善サイクルへ:AI/DXは「導入」から「運用」へ軸足が移りつつあります。ベトナムでも政府方針と企業投資がかみ合い、PoCで終わらせず、業務で回る形に寄せる動きが目立ちます。社内改善にとどまらず、知見を共有し合いながら他社課題の解決につなげる流れも広がっています。

現在、DX推進を共通テーマに、ベトナムと日本は座談会の開催やプロジェクト支援などの連携を進めています。特に、2024年7月には「Vietnam-Japan Digital Transformation Association(VADX JAPAN)」も設立されました

低コストの申告・記録ソリューション需要が急増:税務運用の変更を背景に、「低コストで申告・記録を回したい」というニーズが強まりやすくなります。対象は個人・世帯事業者が中心で、申告そのものよりも、売上・入金・証憑を揃える運用負荷がボトルネックになります。会計SaaSやPOS、請求・入金管理など、現場で回る形のツールが伸びやすい領域です。

DX・AIのコンサル・導入支援ニーズが増える:個人事業から大企業まで、DXを十分に活かし切れていない企業は多いのが実情です。特に「変えたいが、費用とROIが読めない」という不安が強く、2026年は業務単位で小さく試し、KPIで効果を示す提案が選ばれやすくなります。実際、2025年にベトナム中小企業協会が行った調査では、中小企業の68%が「最新技術の導入における最大の壁はコスト」と回答しています。

この構図は日本でも共通です。日本でもDXが進みにくい企業は多く、とくに不動産のように従来型プロセスへの依存が強い業界ほど顕著です。だからこそ「小さく試して、数字で示す」型の進め方が効きます。

「関連記事」:不動産DX:メリット、導入流れ、現状、トレンドを解説

AI学習と知財は「枠組み」より「運用」が論点に:改正法で、適法に公表され一般にアクセス可能な文書・データをAI学習に利用できる方向性は示されました。一方で創作者側の懸念も残っており、線引きや実務要件は下位規定やガイドライン次第で揺れます。

おわりに

2026年のベトナム事業環境は、追い風と逆風が同時に見えてきます。

成長目標が押し上げられる一方で、物価上昇の圧力は強まりやすい。

会計・税務の標準化が進む一方で、数百万戸の個人・世帯事業者には運用負荷(記録・証憑整備)が増える。

DXとAIが優先される一方で、著作権・データ運用の不確実性は残る。

Yopazはこの前提を崩さず、ルール遵守と現場実装の両立に軸足を置いて支援していきます。

よくあるご質問

Q

2030年までに、ベトナムはデジタル経済で何を目指している?

A

2030年までに、デジタル経済のGDP比を30%へ引き上げる目標が掲げられています。 実現に向けた重点は大きく次の3つです。

- デジタル基盤・技術の整備(通信・クラウド・セキュリティ等)

- 企業のDX推進(業務のデジタル化、データ活用、人材育成)

- デジタル政府とデータガバナンス(行政手続きのオンライン化、データ連携・管理)

Q

ベトナムの中小企業(SME)は、低コストでDXを進めるには?

A

ベトナムのSMEでは、いきなり高額パッケージに乗るより、1つの業務に絞って小さく始めるケースが多いです。人材評価・育成あたりから買い切り・低額ツールを回し、成果が数字で出た段階で次の領域に広げていきます。

まずはアイデア段階でも

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