22/01/2025
509
DXとは何か?日本におけるAIの活用状況と課題を徹底解説!

目次

はじめに

1. DXとは?

2.  日本におけるDXの現状

2.1. 全体的な現状

2.2. DXへの投資が最も多い業種

2.3. 自治体におけるDX推進体制

2.4. 日本の各産業におけるAIの活用状況

3. DX推進における課題・解決策

終わりに

 

「DX」は近年、ビジネスの現場で注目されています。その言葉の裏には、未来を切り開く大きな可能性が秘められています。日本では、多くの企業がDXに取り組みつつも、その進捗や効果には大きな差があります。成功事例が注目される一方で、コストやスキル不足といった課題も依然として山積みです。

本記事では、DXの基本的な概念を解説するとともに、日本における現状やデータをもとにした分析、そして企業が直面する課題を詳しく探ります。DXの本質を理解し、その成功のヒントを見つけたい方、ぜひ最後までご覧ください!

1. DXとは?

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称です。DXとは、単なるデジタル技術の導入ではなく、デジタル技術を活用してビジネスモデルや働き方、さらには社会全体を変革することを指します。この概念は2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授によって提唱され、以降、世界中で急速に注目を集めるようになりました。

例えば、製造業ではIoTを活用した「スマートファクトリー」が注目されています。センサーやネットワークで設備をリアルタイム監視することで、生産効率を最大化し、ダウンタイムの削減や不良品の低減を実現しています。

DXは、データを活用して業務効率化や意思決定を最適化するだけでなく、業務プロセスをデジタル化・自動化し、顧客体験を向上させる取り組みです。また、ビジネスモデルを革新して新たな収益源を生み出し、さらには社員が変化に柔軟に対応できるよう組織文化や体制を変革することも含まれます。これらを総合的に進めることで、企業の競争力を大きく高めることを目指します。

2. 日本におけるDXの現状

日本企業のDXは広く注目されていますが、その進捗には企業ごとに大きな差があります。多くの企業が課題を抱え、取り組みが遅れている現状が、日本のDXの実態を浮き彫りにしています。なぜこの差が生まれるのか、その背景や潜在的な可能性を探るために、日本におけるDXの現状を一緒に紐解いていきましょう。

2.1. 全体的な現状

日本におけるDXの現状は、企業や自治体が積極的に導入を進めている段階にあります。次に、現在の全体的な現状を詳しく見ていきましょう。

IPAが実施した「DX動向2024」の調査によると、日本におけるDXの取り組みは着実に進展しており、特に「全社戦略に基づき、全社的にDXに取組んでいる」という回答割合は、2022年度の調査結果で米国を上回っています。

図表2.1-1 DXの取組状況(経年変化および米国との比較)

DXの取組状況(経年変化および米国との比較)

ざまざまな業種別におけるDXの取組状況を比較したグラフを以下に示します。

 

図表2.1-2 DXの取組状況(業種別)

DXの取組状況(業種別)

上記のグラフから見ると、DXに取り組んでいる企業の割合は、業種によって大きな差があることが分かります。例えば、「金融業・保険業」は97.2%と非常に高い一方で、「サービス業」は60.1%と比較的低く、特に生産性が課題とされるサービス業や中小企業ではDXの進展が遅れています。日本全体ではDXの取り組みが年々増加していますが、業種や企業規模によってその進展には差が見られます。

日本における企業が積極的にDXの取り組み始めているものの、その進展にはまだ課題も多くあります。特に経営面では、多くの経営者は、競争力強化や成長のためにDXの重要性を理解していますが、既存のシステムが事業部門ごとに分かれており、全社的なデータ活用が難しい状態です。

さらに、過剰なカスタマイズや複雑化によりシステムがブラックボックス化する可能性があります。経済産業省が発表した「D X レポート」によれば、既存システムのブラックボックス状態を解消できない場合:

・データを活用しきれず、DXを実現できず

・今後、維持管理費の高騰と技術的負債の増大

・保守運用者不足によるセキュリティリスクの増加

日本におけるDXは急速に進展しており、多くの企業が積極的に取り組んでいます。一方で、こういった問題が発生し、将来的な運用が難しくなり、企業の競争力に大きな影響を与える可能性があります。

2.2. DXへの投資が最も多い業種

前述の通り、業界別のDXの取組状況について概略を説明しました。では、今からDXへの投資が最も多い業種トップ(図表2.2)について、さらに詳しく分析していきましょう!

図表2.2 業種別におけるDXの推進状況

業種別におけるDXの推進状況

(出典)デジタルトランスフォーメーション調査2024 の分析

上記のグラフから分析すると、各産業における各カテゴリーの企業数を棒グラフで示しており、一目でどの産業がDXを積極的に進めているか、あるいは遅れているかが分かります。

DXが進んでいる産業には、情報・通信業が圧倒的にDX銘柄企業が多く、最も積極的に推進している産業と言えるでしょう。次いで電気・ガス業が多くのDX銘柄企業を抱えています。また、卸売業や小売業ではビジネスモデルの変革が求められる中でDXが活発に進んでおり、金融業も急速に進展しています。

その反面、水産・農林業や鉱業、建設業などの一次産業があり、伝統的な業界のため他の産業に比べてDXの取り組みは遅れがちです。また、一部の製造業、特に鉄鋼や非鉄金属、金属製品などの重工業分野では、DX導入が進んでいない企業が多い傾向があります。

このグラフから、DXはすべての業界で重要な課題であり、特に情報・通信業や金融業ではビジネスモデルの変革に寄与しています。一方、一次産業や一部製造業ではDX導入が遅れており、今後の課題です。

2.3. 自治体におけるDX推進体制

自治体におけるDXの推進は、住民サービスの向上や業務の効率化を目的とした重要な取り組みです。多くの自治体が積極的にDXを進めており、自治体ごとに異なる推進体制や戦略が採用されています。

デジタル庁が公開している「データの定義:自治体DXの取組に関するダッシュボード」によるところでは、自治体におけるDX推進体制の中で特に注目すべき取り組みは以下の通りです。

・CIO(情報化統括責任者)の任命:2023年4月1日および2022年4月1日時点で実施された地方公共団体における行政情報化の推進状況調査によると、CIOを「任命している」と回答した団体の割合が示されています。

・CIO補佐官等の任命:調査時点や計算方法はCIOの任命状況と同様で実施された「地方公共団体における行政情報化の推進状況調査」に基づき、「任命している」と回答した団体の割合が算出されています。

・全体方針の策定:地方公共団体のDX推進における全体方針の策定状況は、調査時点及び算出方法は同上です。2023年4月1日と2022年4月1日時点の「行政情報化推進状況調査」で、「策定している」と回答した団体の割合を基に算出されています。

・全庁的な体制構築:「行政情報化推進状況調査」で、「構築している」と回答した団体の割合を基に算出されています。調査時点や算出方法は同上です。

・職員育成の取組:地方公共団体における職員育成の実施率は、上記の調査時点で「行政情報化推進状況調査」で、DX推進のための育成を「実施している」と回答した団体の割合です。

2.4. 日本の各産業におけるAIの活用状況

日本の各産業では、AIの導入が進みつつあり、生産性向上や業務効率化、新たな価値創造の鍵として注目されています。「DX動向2024」の調査では、各産業におけるDXの成果を評価する指標や生成AIの導入状況、DX推進における人材の定着状況などに焦点を当て、最新のDX取組状況を分析しました。

【関連記事】【2025年最新】今後AIが導く!各業界でのDX推進成功のカギ

 

回答企業の業種は、日本標準産業分類に基づき、製造業や非製造業など、19の業種にわたる企業が対象となっています(図表2.4)。

図表2.4 回答企業の業種の割合

回答企業の業種の割合

(出典)DX動向2024 DXの取組状況(経年変化および米国との比較)

企業の業種は以下のとおり5業種に分類して集計しています。

1. 製造業等(農業、林業、漁業、鉱業、採石業、砂利採取業、建設業、製造業、電気・ガ

ス・熱供給・水道業):製造業の割合は、年次によって若干の変動が見られますが、全体的には横ばい傾向にあります。

2. 流通業・小売業(運輸業、郵便業、卸売業、小売業):他の産業と比較して高い割合を占めており、日本経済において重要な位置を占めていることが分かります。

3. サービス業(不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉、複合サービス

事業、サービス業(他に分類されない)):3つの年次において、サービス業が最も高い割合を占めています。特に2023年日本においては、41.7%と最も高い割合を示しており、サービス産業の拡大がうかがえます。

4. 情報通信業:情報通信業の割合は、年々増加傾向にあることが分かります。これは、デジタル化の進展に伴い、情報通信業の重要性が増していることを示唆しています。

5. 金融業・保険業:金融・保険業の割合は、2022年(日本)と比較して、2023年日本においては若干減少しています。

【関連記事】【2025年最新】今後AIが導く!各業界でのDX推進成功のカギ

【関連記事】DX推進におけるオフショア開発の役割

 

上記の分析から得られる示唆は以下の通りです。

まず、日本のサービス産業の成長が顕著であり、消費行動の変化や新サービスの創出が背景にあると考えられます。また、情報通信業の増加により、デジタル化が進展しており、企業は競争力を高めるためにビジネスモデルを変革しています。

さらに、日米間で産業構造に違いがあり、米国ではサービス産業が大きい一方、日本ではサービス産業と製造業がバランスよく構成されていることが分かります。

3. DX推進における課題・解決策

DX推進は成長の鍵とされていますが、既存システムの複雑化やデータ活用の遅れなど、多くの課題が存在します。経済産業省が公開した「2023年版ものづくり白書」によると、部門や事業所を横断してデータを活用する際の主な課題として、大企業・中小企業のいずれも「人材不足」や「専門知識の欠如」、「各部門間での理解不足」が挙げられます。特に大企業においては、「データフォーマットの不一致」が顕著な問題として浮上しており、効率的なデータ連携を妨げる要因となっています(図表3)。

図表3 部門や事業所をまたぐデータ連携・利活用を行う上での課題

部門や事業所をまたぐデータ連携・利活用を行う上での課題

(出典)第2節 DXに関する各国の取組状況と我が国における課題

この棒グラフを見ると、これらの主要な課題を簡潔に説明することができます。

データ連携に必要なスキルを持つ人材の不足:大企業と中小企業の双方に共通する大きな課題となります。データ活用には、専門的な知識やスキルが必要であり、人材の育成が急務であることがわかります。

部門間のデータフォーマット等の不一致:どちらの企業規模においても、データ連携を妨げる主な要因となっています。そのため、データの標準化や連携を支えるシステムの整備が必要とされています。

既存システムの刷新にかかるコスト: 大企業では、既存システムの刷新に伴う高コストが主要な課題です。大規模システムの更新には莫大な費用と時間が必要とされるためです。

データ連携に対する全社的な知識の欠如、データ連携に対する各部門の理解の欠如: 中小企業では、データ活用に関する知識や意識が不足している社員が多く、部門間の連携が円滑に進まないケースが目立ちます。これらの課題が大企業と比べて顕著であることがうかがえます。

 

分析結果から、企業がDXを進める上での重要な課題が明らかになりました。これらの課題を解決するための提案を以下に示します。

人材育成の重要性: データ活用を進めるためには、データサイエンティストやデータエンジニアなどの専門知識を持つ人材の育成が非常に重要です。

データの標準化と連携システムの整備: 部門間でデータをスムーズに連携させるためには、データの標準化とそれを支えるシステムの整備が不可欠です。

全社的なデータ活用体制の構築: データ活用を効果的に進めるには、経営層から現場まで全社員がその重要性を理解し、部署間での連携体制をしっかりと構築することが求められます。

中小企業に対する支援の必要性: 中小企業は、大企業に比べてデータ活用に関する知識やリソースが限られているため、特に中小企業向けの支援策が必要となります。

終わりに

DXは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを革新し、競争力を強化する取り組みです。日本では、情報通信業や金融業が積極的にDXを進めており、自治体でもDX推進体制が整備されています。しかし、製造業や一次産業では技術的な課題があり、特にデータ連携や人材不足がDXの大きな障壁となっています。

DXを成功させるためには、データ活用体制の強化や人材育成、システム整備が不可欠です。また、企業や自治体は課題を克服し、競争力を高めるために積極的な取り組みが求められます。今後、DX推進の重要性はますます高まるため、早期の対応が鍵となるでしょう。

DXの未来に向けて、今すぐ自社の状況を見直し、デジタル化の取り組みを加速させることが重要です。ぜひ、Yopazのブログをチェックして、DXの最新情報や事例を通じて、貴社のビジネスに役立つヒントを見つけてください。