「ビッグデータ(Big Data)」という言葉は、2011〜2012年にかけて日本で大きなトレンドとなり、2013年には流行語になりました。現在、企業が持続的な成長を目指して営業・マーケティングや生産・開発などの業務を進める中で、データの活用は不可欠となっています。テクノロジーの進化に伴い、日々膨大で多種多様なデータの生成・収集・蓄積ができるようになったことから、ビッグデータの活用は各企業で進んでいます。
2025年には、さらに多様な分野でその可能性が広がり、技術やビジネスモデル、さらには日常生活にも大きな影響を与えるでしょう。こういった背景から、今後ビッグデータの動向を検討している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、2025年のビッグデータの動向について解説していくので、ぜひ参考にしてください。
ビッグデータとは、簡単に言うと「日々膨大な量で生成される多種多様なデータの集合体」のことです。具体的には、社内のデータ(業務データ、顧客データ、IoTデータなど)や外部の第三者データ(市場データ、SNSデータ、位置情報など)を含み、さまざまな形式でリアルタイムに生成・蓄積されるデータを指します。
例えば交通系ICカードに記録される乗車履歴やGPSから得られる位置情報、メールの内容、SNSの投稿やコメントといったデータが大量に蓄積されたものをビッグデータと呼ぶことができます。
ビッグデータを分析・解析し活用することで、未来の予測や異変の察知、ビジネスや社会に有用な知見を得ることが可能となります。これにより、企業の経営や業績において、これまでにない成果を生み出すことが期待されています。
例えば、ビッグデータの活用により、顧客のニーズにより合致した商品・サービスの提供や、経営・営業などの各種業務の効率化・最適化、課題解決、新たな仮説の発見が可能となります。
Mordor Intelligenceによるビッグデータ技術市場のレポートによれば、ビッグデータテクノロジー市場規模は、9.91%年に2,131億5,000万米ドルと推定され、2029年までに3,419億3,000万米ドルに達すると予測されており、予測期間(2024年から2029年)中に9.91%のCAGRで成長します。

ビッグデータは、今後も幅広い分野での利用が見込まれており、その活用により新しい事業の開発や異業種間の連携などが進められることが期待されています。
では、2025年に注目すべきビッグデータの動向をみてみましょう。

生成AIは、画像、テキスト、音声、動画といった多様な形式のコンテンツを生成できる技術であり、2025年にはさらに進化していると予想されます。
AIとビッグデータの組み合わせは、未来における最大の成長分野の一つです。AIはビッグデータを活用してパターン認識や予測モデルを作成し、より高度な意思決定を可能にします。2025年までには、AIのアルゴリズムがさらに進化し、ビッグデータの分析速度や精度が飛躍的に向上すると予測されています。
活用事例:
2025年において、リアルタイムデータ分析はますます重要な役割を果たします。
その理由は、IoT(モノのインターネット)の普及や、5G/6Gネットワークの拡大による接続性の向上にあります。これにより、センサーやデバイスから膨大なデータが瞬時に生成され、それをリアルタイムで処理・分析することが求められています。
活用事例:
エッジコンピューティングは、データ処理を中央のクラウドサーバーではなく、データが生成されるデバイスや近隣のネットワークで行う技術です。このアプローチにより、データ送信の遅延を減らし、リアルタイム性を高めることができます。
2025年にエッジコンピューティングが台頭していく理由としては2025年には、世界中で数百億台のIoTデバイスが稼働すると予測されています。
2025年には、エッジコンピューティングの普及により、分散型のデータ解析が進み、中央集約型システムの限界を補完する動きが加速するでしょう。
活用事例:
データの民主化という言葉を聞いたことがありますか。データの民主化は、データへのアクセスと利用が広く開放され、多様な関係者に共有されることです。
(データの民主化について、データの民主化とは?手順、メリット、重要性をわかりやすく解説で詳しく説明しますので、参考してみてください。)
2025年には、ビッグデータが一部の専門家や大企業だけでなく、より多くの人々に利用可能な資産となる「データ民主化」が進むと予測されます。セルフサービス型のデータ解析ツールやノーコード/ローコードプラットフォームが普及することで、技術的なスキルがなくてもデータの活用が可能になります。
これにより、中小企業や個人事業主もビッグデータの恩恵を享受しやすくなるでしょう。
活用事例:
データ量の増加とともに、プライバシー保護やデータセキュリティへの関心が高まっています。2025年には、GDPR(EU一般データ保護規則)GDPR(EU一般データ保護規則)に続き、世界各国でより厳格なデータ保護規制が制定されると予測されます。
これに伴い、企業はデータの収集や処理において、透明性と倫理性を確保することが求められます。そして、顧客データを安全に管理するために、新しい技術やプロセスを導入する必要があります。
新技術の採用:
活用事例:
ビッグデータは、気候変動対策や持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献する重要なツールとしても期待されています。2025年には、以下のような具体的な取り組みが進むでしょう。
活用事例:
3-7. データの相互接続とデータエコシステムの拡大
2025年には、データ共有プラットフォームとデータマーケットプレイス(Data Marketplace)が大きく発展すると予測されます。
① データエコシステムの拡大
政府、企業、個人からのデータを統合・連携するプラットフォームが増え、より多様なデータエコシステムが構築されます。
活用事例:
② 新しいデータビジネスモデルの発展
企業は、データサブスクリプション(定額制)、オンデマンドデータ共有、分析済みデータセットの販売など、データマーケットプレイスを活用してデータを商業化します。
活用事例:
③ 官民連携の強化
政府と民間組織が協力してデータマーケットプレイスの構築・管理を行い、データを活用した社会的・商業的ソリューションを促進します。
活用事例:
2025年におけるビッグデータの進化は、技術、ビジネス、社会全体に深い影響を与えるでしょう。リアルタイム分析や生成AIの進化、エッジコンピューティングの普及、データプライバシーの向上といったトレンドが、ビッグデータの可能性をさらに広げます。
これらの動向をいち早く把握し、柔軟に対応することで、企業や個人は新たな価値を創造し、より持続可能な未来に貢献することができるのです。